2017年度部会長所信

石材人と成る
~石と文化を学び、新しい時代を先導する~

基本方針
石と日本の文化の関わりを感じ取り、感性を研ぎ澄ます
新旧の埋葬方法を学び、新しい埋葬に対応できる素地を鍛える
様々な石材人が語り合い、それぞれの地域の石文化を感じ、知識を増やす
日本の国土に感謝すると共に、震災への準備をする
新しい時代を作り出せるネットワークを構築し、新しい会員を拡大する

石と日本の文化
石は文化の源と私は信じています。石が変れば、土が変ります。土が変れば、植生が変ります。植生が変れば、その土地に育つ穀物をも変え、自然を見る人間の気質をも変えていきます。人間が生活する土地ごとに石が異なり、その数だけ文化が異なるのです。
石は我々が生活するあらゆる場所に存在し、我々の生活を豊かにし、様々な文化を生み出し、各文化の必須な一部となってきました。石文化をより深く追及する事により、日本の文化を様々な角度から理解し、私たちの可能性を広げる事ができると考えます。
日本人の文化が始まって、1000年以上。生活必需品である石器や石臼。生活を豊かにした石絵の具や彫刻品。石は常に身近にありました。その文化を我々の数十年の人生で学び吸収する事は不可能です。ではどうするか。言葉は悪いですが、それは文化を先人から作品から参考とし、自らのものと吸収しなければなりません。石から石材人から見て吸収する事は当然ですが、他業種からも文化を吸収する必要があります。世界中からも吸収する事もありえます。
私は今年度、日本の文化の中心地である京都在住という環境で部会長に推薦頂きました。京都在住という地の利を生かし、今年度の石材部会では石と日本の文化の関わりを感じ取られ、会員の感性を研ぎ澄ませるよう運営・設営を行っていきます。

墓と埋葬
既存の宗教は既に力を無くしてしまっています。極論ですがインターネットで気軽にクリックするだけで、葬儀や法要が用意できてしまう時代。場違いな方々が夜の街で散財する場面や、若者のように目立つ格好でバイクにまたがり道路を爆走する。一部の存在だけと皆分かっていますが、とても目立ってしまいます。残念なことですが尊敬されない存在となってしまっては、宗教離れが急速に進んでいきます。
歴史を紐解き墓の文化を考えてみた時、今日の一般的な墓のように石を磨き、画一的な形になったのはここ100年以内の歴史です。
人が亡くなった時に、亡くなった人を偲ぶ気持ちや亡くなった人を偲べるものを求める気持ちは、有史以来も何も変わっていません。その証拠に既存型の墓石の新規建立は減りつつ、過疎地域を中心に墓終いは進んでいますが、ここ数年で家族葬や樹木葬や自動搬送式納骨堂は全国的な広がりを見せています。私たちの生き残るヒントはここにあると考えます。
お寺と檀家と石材店の関係が崩れ、既存の価値観も崩壊しました。ただ人が亡くなった時、どこかに埋葬する必要があります。私たちは新しい埋葬方法が出てきた時に、その波に乗り遅れることなく、そして自らも新しい流行を作り出せる素地や気概が必要です。今年度の石材部会では新しい埋葬方法を積極的に学んでいく運営・設営をします。

石材と人脈
かつてどの地域でも存在したであろう身近な石材店では、石は何でも取り扱っていたでしょう。石は人間の生活を豊かにするには必須の存在でありました。日本の生活が豊かになるにつれて、電化製品があふれ、重たく危険が伴う石製品は少しずつ身の回りから無くなっていきました。
同時に明治維新後には各都市には西洋建築が立ち並び、建築専門の山が切り開かれ、建築に特化した石材店が活躍し始めました。
戦後復旧・高度成長期には、戦中戦後に満足に弔う事もできなかった英霊や戦没者を弔うための墓石建立がブームとなり、産地の機械化に伴う大量生産や運送手段の発達も相まって、石材店が墓石店や霊園開発業者となった例もあります。私は専門性を高めることを否定するつもりはありませんが、我々は石材部会である事を忘れてはいけません。
私たちは石材を取り扱っているのです。取り扱う石材は当たり前ですが世界中から産出し、世界中で加工されています。新しい埋葬や新しい建築の価値観には、新しい石種や加工方法が大きなインパクトを与え流行を作り出します。日本国内の各産地の石材を学ぶ事はもちろん、工場や商社が提供する以上に、我々が主導して国内外の石材を選択しなければなりません。
そのためには多くの人を知らなければなりません。私たち石材部会は敬愛する先輩から私たち現役まで繋がる幅広い人脈があり、部会の大きな魅力のひとつとなっています。その人脈を最大限生かし、さらに国内外に広げられるように運営・設営します。

石と震災
我々が忘れてはいけないのが、震災に代表される天災です。2011年には東北地方を中心とする東日本で、そして昨年では熊本で大きな地震がありました。重い石が軽々と動いてしまう地震のエネルギーは、その度にメディアで象徴的な被害の実態として取り上げられます。ただこれは近年に始まった事ではありません。日本は過去から大きい地震が発生する国土です。急峻な山を持ち上げる地殻変動があるからこそ地域色豊かな国土を生み出し、各地で様々な石材が産出するのです。私たちの仕事は最も日本の国土のプラスもマイナスも影響しているとも考えられます。人間は自然の一部ですので、これは感謝することと考えます。
ただ墓石は急に進化し、ここ数十年は幸いなことに大きな地震がなかったために、地震対策が行き届いていないのです。日本の石文化を考える上では地震に備える事は必須なことなのです。昔ながらの建て方をしている鳥居が地震に強いというのは周知の事実です。私たちのすぐ近くに免震のお手本があったのに、それを学ばず、数十年程度しかもたない据付方法や固定方法を選んでしまって
いたのかもしれません。
天災でもうひとつ大切なのは、天災に負けず復興をする事です。石材部会では近年天災の被害地を訪れていません。もし私たちの地域で大きな震災があった時、復興を成しえた地域の復旧と教訓を改めて学び、震災があった地域以外でも準備し、活かす事ができるように今年度の石材部会では運営・設営します。

会員拡大
私の実家は石材店です。私で四代目となります。私だけではなく石材部会の我々は有史以来、先祖が積み上げてきた石の文化と歴史をここで止めるわけにはいかないのです。諸先輩かたがた引き継いだ石の文化を、次世代の石材人に引き継ぐことは今を生きる石材部会にとって、とても大切な使命です。
日本全体の問題ではありますが、各地青年会議所で会員の減少が進んでいます。また石材店も後継者不足、売り上げ減少など様々な要因で若い世代が減ってきています。その中でも各地域で孤軍奮闘している若い石材人は必ずや存在します。石材部会のネットワークを生かし候補を見つけ出し、我らが石材部会に迎え会員拡大を行う。そして一緒により強いネットワークを構築し、運動していくことが、新しい時代を切り開く力となります。
次世代に向かって活躍している我々の姿を見せ、新たな会員を勧誘することが最も大切だと考えます。今年度も今までと引き続き、積極的な会員拡大を行っていきます。

石材人と成る
私たちは日本国内と世界中の石材と石文化を知り、学び、吸収し、活かす事で次世代へと繋がります。他の石材団体では思いも付かないことを、青年である我々が率先して動き、実行し、石材部会の仲間で新しい時代へ羽ばたきましょう。
「石が売れない」という悲観論を述べるのではなく、我々は青年たる英知と勇気と情熱をもって、本質を見極めて新しい石文化の創造を行わなければならない。
我々部会員一人ひとりが新しい時代を先導する石材人と成るのです。

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